〝期間が決まっていない〟という難しさ
病院に入院している期間に受けるリハビリテーションの期間は、脳血管疾患であれば90日間、運動器疾患疾患であれば60日とおおよその期間が定められています。患者さんの中にはそこから外来リハビリに移行されるケースもありますが、多くの方はその期間が過ぎるとリハビリは終了となります。
訪問リハビリでは、介入前に事業所と利用者さんの間で契約書を交わしていますが、多くの事業所では終了の目安を記さずに契約をしています。そのため、訪問リハビリを終了するタイミングは利用者さんやそのご家族に委ねられているのが現状です。私はいつも、この〝訪問リハビリを卒業する〟タイミングの難しさを感じながら訪問しています。
利用者さんが満足したタイミング
これが一番シンプルかつ円満な終了のタイミングだと思います。介入当初に定めた長期目標が達成され、利用者さんや家族からリハビリ終了の申し出があった時は、セラピストとして訪問リハビリの役割をしっかりと担えたということになります。
なかには「3ヶ月で屋外歩行ができるようになりたい」と利用者さん自身で明確な目標を定められ、その通りぴったり3ヶ月で終了された方もおり、目標設定の重要さを実感する出来事もありました。ただ、このような展開は非常に珍しく、多くの方が介入期間が1年を超えているが現状です。
担当者が終了してもよいと思ったタイミング
訪問リハビリを開始して半年ほど経つと、介入の経過からおおよその予後予測のイメージが掴めてくるころかと思います。そんなタイミングで「そろそろリハビリを卒業しませんか?」と提案したらどうなるでしょうか。多くの利用者さんはその提案を受け入れてくれると思います。ただ、本音ではまだリハビリを継続したいと考える方がいるかもしれません。
そんな時は、担当のケアマネジャーさんに本音を聞き出してもらうという手段が有効です。直接セラピストに言えないことでも、ケアマネジャーさんには話してくれる可能性があります。また、セラピストが終了してもよいと思っていても利用者さんがまだ必要としてくれているのであれば、満足して頂けるまで介入していくというのも役割のひとつだと思います。
主治医が終了してもよいと思ったタイミング
訪問リハビリは、院内リハビリと同様に主治医の指示書がなかれば介入することができません。リハビリを始める指示を出してくれたお医者さんが〝もうリハビリは必要ないですよ〟と判断した時、それがベストなタイミングなのではないかと思います。
ところが、利用者さんがリハビリを続けたいと思っている場合には他の医師に依頼をして、リハビリが必要と判断されれば指示書を書いてもらうことができます。そのため、主治医が示すタイミングで終了してしまうというのは少し勇み足かもしれません。
結局いつ終了したらいいのか
それぞれが思う終了のタイミングについて考えてみましたが、お互いの考えを共有していく作業は必要不可欠のように思います。それでも折り合いがつかない場合、やはり一番は利用者さんのタイミングを優先するべきだと思います。
院内リハビリのようにあらかじめ期間が定められている場合、利用者さんの満足度とは関係なくリハビリは終了してしまいます。だからこそ、訪問リハビリを終了するタイミングに関しては利用者さんが満足した時が目安と考えてよいのではないでしょうか。
まとめ
訪問リハビリを終了するタイミング
⑴円満に終了できるケースは非常に少ない
⑵それぞれの思うタイミングで、一度お互いの意見を共有してみる
⑶最後は利用者さんの意思が尊重されるべき
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